カメの「マーチ」イタリアに飛ぶ 〜ミシシッピニオイガメをイタリアに連れて行く方法〜

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こっそりオーディオ - 05

自作パッシブラジエーターの改良とツイターの追加

前回の改造からさらに改造を加えました。その都度記事にしませんでしたので、ここで一気にご紹介します。

結果的にはとても進化し、ようやく、好きなECM系の音楽を楽しく聴けるようになりました。

  1. パッシブラジエーターを背面にも追加
  2. 吸音材の見直し
  3. パッシブラジエーターの振動素材の改良
  4. ツイーターの追加

かなり端折った内容になりますが、順を追ってざっといきましょう。

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【写真:現在の状態】

 

1.パッシブラジエーターを背面にも追加

前回ご紹介したパッシブラジエーター、やっぱり音域的にちょっと不満でもう少し低域寄りにしたい。ということで、振動面の中心にゴム(塩ビシート)を重ねてはり、さらにネジを貫通させて重しにしました。(上の写真の背面側に設置している振動板がそれ)

その結果、さらに低い音域が出るようにはなったのですが、元の音域あたりくらいにディップが出てしまいました。

この低域は魅力的なので残したい。でもディップが目立って、音源によってはベースが聞こえないところがある。

どうしたものかと考えているうち、「じゃあ、もとのパッシブラジエーターと、この新しい改造版の二つあればいいんじゃないか」という結論に至りました。低音量も増えそうですし。

 

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【写真:背面に穴を開けようとしているところ】

 

背面のパッシブラジエーターに一番低い音域を担当させて、フロント側は前回作成した振動板を再現して作りました。

いろいろあって完成版時に写真を撮らなかったのですが、背面は一番上の写真、現行のものと同じです。

フロント側は前回の記事と同じ感じ、ということです。

march-italy.hatenablog.com

 

さて音の方ですが、ほぼ狙い通りの音域が出るようになりましたが、定在波なのかなんなのか、ドラムのタムの高い方の音域あたりに大きなピークが出てしまって、ソースによっては耳が痛い。

それと、ピアノソロなんかを聴いてもそのピークのせいで、やたらと安物のピアノを聴いているようで気持ちよくない。

なんとかしようということで、吸音材を見直すことにしました。

 

2.吸音材の見直し

ネットで情報集めをしていると、「戸澤式レゾネーター」というものが目にとまりました。ふむふむ、紙で作った立方体や正4面体等をエンクロージャー内に放り込んでおくと低域の定在波を吸収してくれるですと!?

今回の用途にぴったりではないですか。
早速インクの空箱を放り込んでみるとあら不思議。耳の痛い定在波が軽減されるではありませんか。

そのままインクの空箱を入れておいても良かったのですが、ネット情報に倣って正4面体を複数作って入れてみました。

この戸澤式レゾネーターですが、詳しい原理はよくわかりません。

ただ、色々試した感触では、この正4面体等が定在波で共振して、エンクロージャー内の定在波を相殺するのかなと。素材や大きさでも微妙に効果が変わるようです。

 

そして最後に追加したのが、チョコエッグ(イタリアではKinderのもの)のおもちゃが入っていたカプセル。これをプラスして入れたら、さらに低いところにあった定在波も軽減されました(ような気がします・・・)。

 

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【写真:自作戸澤式レゾネーターとチョコエッグのカプセル】

  

ちなみに、チョコエッグの発祥はイタリアなんだとか。イタリアでは復活祭の卵型チョコレートが定番で、そのチョコレート製造技術がイタリア独自のもで、日本のチョコエッグも最終工程はイタリアで行なっているらしいです。(現在は知りませんが・・・)

 

3.振動板の見直し

まあ、見直しというか追加実験というか。以前から振動板にエッジがなかったことが気になっていて、エッジをつけたらどうなるんだろうと実験してみたのです。

試したエッジ、振動板で、好結果が得られたものは以下の通り。

  • 梱包用スポンジをエッジにして、塩ビシートを振動板にする
  • 梱包用スポンジをエッジにして、厚紙を張り合わせたものを振動板にする
  • 薄いゴム(ゴム手袋)をエッジにして、厚紙を張り合わせたものを振動板にする

 

まずは梱包用スポンジをエッジにして、振動板を塩ビシートで作りました。

梱包用スポンジの中心をくりぬいて、真ん中に塩ビの振動板を5センチ四方くらいにカットしたものを貼り付けました。

 

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【写真:梱包用スポンジをエッジ用に加工したもの】


振動板はこれまでの塩ビシートと同じですが、エッジをつけると音量が上がり、音域の幅も広がるようです。しかし、塩ビシート自身が柔らかくそれ自身がしなったりしていろんな音を出しているようです。そのためか低音が今ひとつ安定しません。

 

次に、同じエッジで、振動板を厚紙を張り合わせたものに変えてみました。

これはなかなか良いです。締りのある低音で、音域も広く、音量も十分です。

ところが耳を近づけて聴いてみると、バスドラの音と一緒に、スポンジが何かと擦れあって「プチプチ」とか「ジャリジャリ」とかいう音を出しています。
また、低音の音量が増えてくると歪んで汚い音が出ています。

離れて聴くと気にならないのですが「実は汚い音が出ている」と意識してしまうと、精神的にあまりよろしくありません。

ちなみに、この厚紙を張り合わせた振動板、普通のスティックのりで張り合わせましたが、ノリが完全に乾燥するまで良い音がしませんでした。そこそこ締まりのある音になってきたのは設置後2日目くらいからでしょうか。

 

さて、もっとエッジに適したものはないものか?

ネットでは幅広のゴムバンドをエッジにしている人も見ましたが、イタリアの雑貨屋でそういうものを見たことがありません。
どうしたものかなーと思いながら食器を洗っていたら、あるではありませんか、ゴム手袋が!

薄くて弾力があって、それなりの面積がある。手袋をはめたままスピーカーのところに行ってみると、手袋1セットで何枚か作れそうです。

 

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【写真:ゴム手袋の片手の手の甲側だけで、左右のエッジが作れました】

 

ゴム手袋のエッジに、厚紙を張り合わせた振動板を貼り付たところ・・・。

これはなかなかいけます。おかしな雑音も出ていません。
しかし、音域が高めになってしまいました。音域はとても広いようですが。

スポンジのエッジより、振動の自由度があるためでしょう。
そこで振動板の裏に十円玉を貼り付けたところ、とても低い音になりました。

が!低音が暴れて大変でした。ベースのアタックの後から「ブオ〜ン」と共振が始まってブーストされる感じで聴いてられない。

当初、エッジをアクリルの枠に適当に貼っていたのが悪かったようです。
もっとゴムを引っ張るように、ピンと伸ばして貼り付けると、制動が効いていい具合にコントロールされた低音が出てくるようになりました。

 

これがP-800Eから出る低音でしょうか!
大口径のスピーカーのような低音が出てきます。アコースティックベースも楽しめる深い低音です。

 

4.ツイーターの追加

まずは、1年ほど鳴らしたPeerless の P830987 の音色の話から。

FostexのP800Kから付け替えたわけですが、当初は高音部に硬さがあって、聴取位置を少しずらすなどして使用していました。
現在では硬さがとれて、とても美しい音がします。ヨーロパッ的とでも言うのでしょうか、上品で繊細な空間表現が得意な美音系のスピーカーです。

これはこれでうっとりと聴き惚れる瞬間があるのですが、高音がまろやかになった分、シャキッとした高音が聴こえなくなったことが気になり出しました。

具体的にいうと、P830987単体ではスティーリー・ダンの「Black Cow」のハイハットが聴こえないのです。

P830987が高音の弱いフルレンジかと言われると、そうではないと思います。ただ、ハイハットの「チッチッ」とか「ジャキジャキ」いう金属的な音の帯域がすこし足りない気がします。全体にはスッキリした高音が得意なのですが、上品に聞こえるのは金属的な響きが弱いからなのでしょう。

もちろん、低音を思いっきり強化したので、その影響もあると思います。

 

と言うことで、ツイーターを追加したらどうなるかなと。

P830987 と同じ Peerless のツイーターを1本980円という信じられない価格で販売しているショップがあったので試しに注文して、奥さんの友人がこっちにくると言うので、頼んで持ってきていただきました。

 

 ツイーターなので姿勢を保持できればいいかくらいのつもりで、エンクロージャーをプラダンで製作。

 

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【写真:プラダンエンクロージャーとツイーター】

 

手持ちのDAYTON製フィルムコンデンサー(こんなこともあろうかと余っているコンデンサーを持ってきていました)をかまして繋いで見ました。

う〜ん、なんだか耳が痛い。2.2μFでも1.5μFでも耳が痛い。

一緒に注文した0.5μFを逆相接続ではどうか?おー、これはちょうどいい!

この0.5μFコンデンサー、極性を消すために1μFの電解コンデンサーを直列接続したものです。これまでフィルムコンデンサーしか使ったことがなく、「電解コンデンサーは無極性化して使うもの」ということを知らず、1μFとして使えるものと思っていたのでした。ちょど4個注文していたので良かった〜。

このコンデンサー「東信工業 音響用ハイグレード電解コンデンサー」というものらしいのですが、DAYTONのフィルムコンデンサに比べて柔らかい音というか、現状のセットに追加するにはとても相性のいい音で気に入りました。

ちなみに、フルレンジ側にはネットワークは追加していません。 

 

肝心の Peerless のツイーターの音ですが、届いた時に開けてみると、どこにもPeerlessのロゴとか表示がありませんし、型番もわからなくて、内心大丈夫か?と思いましたが、確かにPeerlessの音っぽくて良いです。P830987との相性もバッチリ。

もしかすると訳あり(何かの製品に使われるつもりだったのがキャンセルされて余ったものとか?)でこんなに安いのかもしれません。とてもとても、いい買い物をしました。

ハイハット、シンバルレーガートの繊細な音までちゃんと聞こえるようになりました。しかも美音系。 

 

 現在の音色

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【写真:現在のP-800E改 冷凍ピザのパッケージで作った振動板が美味しそう】

 

いやー、素晴らしい。

まだ低音域に少しゆるいところはあるものの、このエンクロージャーでここまで行けるとは思ってませんでした。現在は聴取距離約1.5mくらいが一番良いバランスで聴くことができます。近すぎると低音が弱く聴こえます。
クリアーで解像度がよく、上品な中高域。アコベもしっかり聴ける分厚い低域。低域は、パッシブラジエーターにありがちなボンボンした音ではないです。

P-800Eに価格帯の話を当てはめるのはどうかと思いますが、ブラインドテストをしたらペア5万〜6万クラスかそれ以上のスピーカーと間違う人もいるのではないでしょうか(アホかと言われそうなので控えめに言ってます・・・)。現在使用している主なパーツの合計価格が1万2〜3千円なので、素晴らしいコストパフォーマンスです。

空間表現が素晴らしく、録音のいいソースを聴くと、とてもリアルです。ビックバンド系なども大きなスケールで聴こえます。
何より嬉しいのが、ECMレーベル系の音が大きな不満なく聴けるところです。

 

ECMの録音って、高音域が多くて中音が控えめで透明感のある音が多いです。そこにどっしりしたベースやバスドラが入っているので音楽として成立するのですが、この低音が出ないスピーカーで聴くと、チャラチャラしただけの安い音になるんです。

これまでECMはヘッドフォンで聴くしかないかなと諦めていたのですが、ゆったり座ってスピーカーで聴くことができる。ECM系がとても美しく聴けるスピーカーになりました。

追加したツイーターと改良を重ねたパッシブラジエーターのおかげです。

 

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【写真:設置方法も少し変更しています】

 

パッシブラジエーターには次のアイデアがあるので、また試してみたいと思います。

ではまた。