カメの「マーチ」イタリアに飛ぶ 〜ミシシッピニオイガメをイタリアに連れて行く方法〜

ミシシッピニオイガメをイタリアに連れて行った際の、手続きなどをまとめたブログです

マーチとの別れ

マーチとの別れ

とてもとても気が重いのですが、今年中に書いておきたいことがあります。
2017年6月27日、マーチがこの世を去りました。

 

長い間書くことができませんでしたが、このブログを立ち上げた以上、そのことを書かないのは無責任な気がしたので書くことにしました。

 

4月末

体調不良の前兆

マーチの様子がおかしくなり始めたのは、4月の末ごろ。今思えばそれが体調不良の前兆でした。

落ち着きがなくなり、濾過器の吸い込み口のパイプと、水槽のガラスの間を何度も無理やり通ったりしていました。
春頃はそんなことがよくあったし、食欲も旺盛だったので、今回もそれほど気にしていませんでした。運動量が増えたせいか、体重が少し減っていたので食事の量を増やしました。これも毎年のことでした。

 

5月中旬

突然の食欲不振

5月中旬になると、突然食欲が落ちました。毎日、朝と夜に別の餌を与えて食事をさせていたのですが、朝にあげていた餌を食べなくなりました。 (朝はカメプロス、夜はレプトミンスーパー)

しかし、食欲が落ちることもこれまでに何回かあったので、あまり気にしていませんでした。これまでも2~3日食事を抜くと、また食欲を取り戻していたので、今回もそうしました。

ところが今回は、絶食を終えてからも朝の餌は食べず、夜に食べさせていた餌や、鶏肉などの好物しか食べません。少し心配ではあるものの、夜の餌を朝にも与えれば食べていたので、それほど重く捉えていませんでした。

 

5月末

絶食状態に

5月末になると、朝も夜も食べない絶食状態になってしまいました。
それでも初めのうちは好物の鶏肉は食べていたのですが、2~3日するとそれも食べなくなりました。

ここで初めて抱卵を疑いました。
これまで10年近く一度も卵を産んだことがなかったので、そこに思い当たるまで時間がかかってしまいました。

急遽、衣装ケースで産卵庄を設置しましたが、卵を産む気配はありません。産卵庄の質が良くないのかなとは思うものの、こちらのホームセンターなどでは、腐葉土ばかりで園芸用の「砂」がなかなか手に入りません。

近くにはパルマ川があって、そこから川砂を持ってこようかと思いましたが、外国人が川に降りてごそごそ砂をかき集めるのもいろいろ疑われて面倒そうです。

なぜなら、川岸あたりは麻薬取引などに使われる場所らしく、数年前は殺人事件もあったとかであまり近寄りたくない場所です。現に川岸に降りている人を見かけることは滅多にありません。

そんなこんなでモタモタしているうちに、なんだかマーチが後ろ脚を引きずっているような気がしてきました。
その時は常にではないので確信が持てませんでしたが。

 

6月初旬

少し様子をみる

医者に連れて行こうかと、パルマで爬虫類を診てくれそうな病院を見つけていたのですが、滅多に外出することがないマーチに余計なストレスを与えたくなかったので、病院行きは最後の手段と考えました。

抱卵が一番疑わしとは思うものの、これまで一度も産卵などがなかったので、自分なりに他の可能性もあれこれ考えてみました。

ちょっと脚の様子がおかしい時があるのでビタミンB1不足を疑ってみたり、自分達が住むアパートの隣の家がちょど5月中旬くらいから工事を始めたので、その音がストレスになっているんじゃないかとか、水が合わないのかもしれないと、産卵庄にミネラルウォーターを置いて飲めるようにしてみたり。

そうこうするうちに、6月10日ごろから隔日くらいで見慣れない緑色の糞(または尿酸?)をするようになりました。

やはり自分でなんとかできる状態ではないようです。

 

6月13日

初診

動物病院に連れて行きました。
レントゲンを撮ってもらいましたが、医師は「卵はなかった 結石もなかった 健康に見えるが?」とのこと。

糞(尿酸?)を採取するように指示されました。

 

6月20日

糞(尿酸?)が採取できたので連れて行きました。

前回より足の反応が悪くなっています。それから、後ろ足の付け根がダブついています。

水が溜まっている可能性があるためエコーで確認してもらいましたが、水はほとんどありません。

脂肪の塊のようなものが映り、殻ができていない卵の可能性があるとのこと。

採血を試みますが、ほとんど取れず諦めました。
カルシュウムの多い食事(強制給餌)をさせることになり、翌日指定の餌を持って再度受診することになりました。

 

6月21日

強制給餌を行う。

カテーテルで喉の奥まで餌を直接送り込みます。餌は昨日指定されたカルシュウムを強化した餌(Raffy P)。

目を閉じて苦しそうにするマーチに心が痛みます。
明後日にもう一度強制給餌を行い、その後再度採血を行う予定になりました。

連れて帰ってからは、少し元気になった気がしました。

 

6月24日

2回目の強制給餌。

土曜日で幼稚園が休みのため、娘を連れて行きました。
しかし待ち時間が長く、仕方なく奥さんとマーチを病院に残して、娘と公園で遊ぶことにしました。

強制給餌の様子を後で聞くと、前回よりおとなしく上手に食べていたとのこと。

 

6月25日・26日

2回目の強制給餌の後、なんだか元気がありません。

特に26日は1日中鼻を水面から出して呼吸しているようで気になりました。

 

6月27日

朝起きて様子を見に行くと、マーチが動いていない。

まさかと思って水槽をコンコン突いても反応がありません。
嫌な予感がして水槽からつかみあげても全く動かない。目は開いています。鼻先を突ついても、顔を触っても動かない。

死亡していることを確認しました。
首を半分ほど中に入れて、四肢はだらりと外に出した状態。

登園前の娘も動揺し、幼稚園を欠席。
仕方がないので、奥さん一人で動物病院に行ってもらいました。

解剖などで死因を調べる機関があるそうですが、調査は行わないことにしました。

遺体は火葬することにし、動物専門の火葬業者に予約を取りました。
火葬で甲羅が残ってくれればいいのですが・・・。

遺体は病院から火葬場に送られ、低温で保存されるとのこと。

 

7月4日

郊外の火葬場に。

約1時間ほどで火葬が終了しました。

「日本人は愛情深いねえ」と火葬場の人。
小さな亀を火葬する人はほとんどいないらしい。

残念ながら甲羅は形が残りませんでした。多分冷却の際に割れてしまったのでしょう。 大きな亀を火葬した際は形が残ったのだそうですが。

マーチが去って約1ヶ月は何をやるにも気が重くいろんなことが中途半端でした。今も後遺症が残っていますが、少しは前向きに心が動くようになったかもしれません。

 

 

いろんなことがあって、マーチをイタリアに連れてくる選択をしました。
結果的にはそれが間違いだったのかもしれません。

 

直接的な死因は分かりませんでしたが、やはり環境の変化にうまく適応できなかったのが大きいのではないかと思います。

 

 

結果的に間違いだったこのブログを、残そうかどうしようか迷いましたが、亀を飼う多くの人の参考になればと思い、残すことにします。

この結果を反面教師に、海外に連れていかない選択をしてもいいでしょうし、連れて行って、環境面の配慮をこれまで以上に気を使うようにするよう、心に留めていただければ、それなりの価値はあると思いますので。

 

 

 

おまけ

先日、家族で出かけて、カフェでお茶を飲んでいたときのこと。

僕の紅茶カップに「March」と書かれていて涙しました。
おそらく季節の絵柄のカップが12種類あったのだと思いますが、なんだかマーチが空から「ずっと忘れないよ。ずっと家族だよ」と言ってくれているようで。