こっそりオーディオ - 04
パッシブラジエーターを自作する
余ったP800Kをパッシブラジエターに使用する改造を行なったスピーカー。1週間ほど使ってみたものの、やっぱり低音の量が足りなすぎます。
それに、色んな音源を取っ替え引っ替えかけてみたところ、明らかに出ていないベース音も見つかりました。
出来上がった当初はそれなりの達成感がありましたが、もろくも1週間で崩れ去ってしまったわけです。
P800Kはとことん自分には合わない子だなと、ネットでパッシブラジエーターに使えそうな他のユニットを探したりもしたのですが、今度いつ帰国できるかわかりません。イタリアでは自作用スピーカーユニットなどなかなか手に入りません。ミラノあたりに行けばそんなお店もあるのかもしれませんが、これまでイタリアのオーディオ関係のショップを検索した限りではそういったマニアックな製品を見つけられませんでした。
どうしたものかと色々ググっていると、パッシブラジエーターを自作している方を発見しました。
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この例ではエッジ探しが大変そうです。日本でも大変そうなのにこっちではもっと大変になるのは目に見えています。
そして、たまたま貼ったゴムがパッシブラジエーターとして作動しているのを見つけた方の記事が引っかかりました。
おー、これはおもしろい。すでにバッフル面の穴あけは済んでいるわけですから、ゴムを貼ってみるくらいの実験は簡単です。
早速やってみました。
P800Kを外してゴムを貼ってみる
試しに、P800Kを外した開口部に、ゴムをテープで貼ってみました。
机などに敷く透明のゴムマットで、厚みは1mmです。
わーすばらしい!しっかり低音が増強されています。しかもP800Kの時より中高音をしっかり遮断しているので低音だけが増強されて聴こえます。触れてみると、振動面も高域には反応していないのがわかります。
音に厚みが出て、低音の量もバスレフの時に負けていないようです。
このままネジでとめればそのまま使えるかもしれない。そう考えてネジ止めしてみましたが、うまくいきません。ゴムをピンと張ることができず、隙間が空いてそこからユニット背面の音がダダ漏れになってしまいます。
そこで、枠をつけて押さえつけてみることにしました。
枠の作成
4mm厚のアクリル板が余っていたので、それで枠を作ってゴムを貼り付けてみることにしました。
8cm四方のアクリル板に穴を開けて枠にしますが、穴をあける前にネジで仮止めしてみました。
突然ですが、ここで密閉箱の実験です。
あれ?いい音。P800Kのパッシブラジエーターを設置していた時より好きな音がしました・・・。低音も逆位相の音が出ていないためか、不自然になるところもありません。
もう、このままで行こうか・・、とも思いましたが、せっかくなので自作パッシブラジエーターを試すことにします。
密閉に戻すのはいつでもできそうですから。
ひとまず完成
アクリル枠に両面テープでゴムを貼ってネジ止めしました。
はじめ、ゴムをたわんだ状態で貼り付けましたが、あまりよくありませんでした。そこで、テンションをかけてピンと貼り付けました。
通常のスピーカーユニットのようにエッジがありませんので、初めはたわみをつけて自由に振動させようと考えたのですが、それではうまく振動しないようです。その逆にピンと張ることでドラムヘッドのように振動して効果が上がるのかもしれません。
この辺りは貼り付ける素材によっても違うのかもしれません。使用したゴムマットは弾力があるのでこの方法が良いようです。
この状態では、ゴムを枠でバッフル面に押さえつけていますので、開口部の四隅がバッフル面に触れてしまって効果が弱くなっているかもしれません。振動するゴムの下に、パッキングも兼ねて枠と同じ形にカットしたゴムを挟み込みました。振動板をバッフル面から浮かせることで、全てが振動するようになりました。
色を塗る
透明のゴムなのでこのままでは中身が丸見え。ちょっとカッコ悪いです。枠も白くて目障りです。枠とゴムを黒く塗ることにしました。
プラカラーとかも持ってきていませんし、ペンキを買いに走るのも面倒。手元にあったアクリル絵具(アクリルガッシュ)で塗ってみることにしました。アクリルガッシュは乾くとマットになり、塗りムラも出にくいのでキレイに仕上がります。(上の写真は乾いていない状態)3度ほど重ね塗りして完成。
ゴムの方は裏側から塗りました。塗料が音質に与える影響はわかりませんが、この辺りもいろいろ試すと面白いかもしれません。
完成!と思いましたが、何度もネジを締めたり外したりしたので、バカになりました。パテで埋めてやり直そうかと思いましたが、今後もパッシブラジエーターの実験は続きそうな気もします。自作スピーカーで皆さんがよくやるように鬼目ナットとかを仕込めたら良いなあと、ホームセンターに出かけました。
あいにく思い通りのがありませんでしたが、爪付きナットを見つけることができて目的は達成できました。
完成!音色レポート
黒いネジが見つからず、ごつい銀色のネジ!ネジの径は4mmですがやたらと頭がでかい!まあ、これはこれでアクセントになって良いかと無理に納得して完成させました。本当は六角レンチで止めるようにしたかったなあ・・。コーナンや日本橋のパーツ屋が懐かしいなあ。遠く離れてそのありがたさが身に沁みます。
音は先にも書きましたが、低音の量がP800Kの時に比べ格段に増えました。バスレフの時と比べても遜色ないレベルだと思います。当初期待していた低音をやっと得ることができました。重低音とまでは言えませんが、このサイズでこの低音なら結構良いのではないでしょうか(この前もそう書いた気がしますが・・)。
エレクトリックベースを聴くぶんにはこのサイズならほぼ不満のないレベルです。締まりのあるベース音を聴かせてくれます。アコースティックベースもそれなりの厚みで聴けますが、ズーンとお尻に響くような低音は出ていません。
音全体の重心が下がり分厚くなりました。かといって高音が隠れてしまったわけではありません。とても聴きやすい音だと思います。
振動板にエッジがついていないのでダメかと思いましたが、これは予想外の大成功です。ゴムがドラムのヘッドみたいに振動して音が出るんですね。しかもちゃんと低音だけ共振しています。たまたま使用したゴムが丁度良い素材だったのかもしれません。このゴムは高音の遮音性が高いので、パッシブラジエーターからは見事なほど高音は漏れてきませんし、高音部の共振も起こっていません。
完成したパッシブラジエーターを叩いてみると中心部と枠辺りでは音が違います。これもドラムと同じですが、中心部は低く、枠に近づくほど音が高くなります。この音の範囲内で満遍なく音が増強されている気がします。なので、音が低音を中心に分厚くなり、豊かになるようです。
貼り方、テンションのかけ方で音が変わりますので、左右の調整はしっかり行う必要があります。
自分の中で「8cmフルレンジの聴取範囲の限界は1m」と考えていましたが、この音なら音量にもよりますが1m以上離れても聴ける音になりそうです。
低音がかなり出ていますので、設置する際のセッティングもしっかり行わないと、実力を発揮できなさそうです。ベースに御影石を置くとかしたいのですが、なかなかそういったものが簡単に手に入る環境がないのが残念です。
ゴムっぽい質感の音がしそうに思われるかもしれません。確かにテープで仮止めしていた時は少しゴムっぽい感じがありましたが、枠を作ってテンションをかけて貼ってやると気にならなくなりました。見た目のせいでしょうか、塗装したのが良かったのでしょうか、よくわかりません。
あとは、必要がないので試していないのですが、大音量で鳴らした時にどうなるのか。振動板にエッジがついていないので、小音量で聴いている時と低音のバランスが大きく変わってしまうのかもしれません。それとも今回使用したゴムは弾力があるので結構頑張ってユニットの振動についてくるのでしょうか。
それから温度による音色変化も大きそうです。ゴムの硬さであったり、伸縮など、温度変化に大きく影響されそうなので、シビアに考えればドラムみたいに温度や湿度に合わせて貼り替えたりチューニングする必要がある方式と言えるかもしれません。
まあ、簡単にできる実験ですので興味のある方は(自己責任で)お試しください!
またパッシブラジエーターに貼る素材などを変えて実験するかもしれません。それではまた。